レビュー

『九つの、物語』を読んだすぐ後…なぜか僕は大きな鍋を火にかけた。

九つの、物語』を読んで思った。なんとバラエティーに富んだ作品だろう、と。

スポンサードリンク

友達のおすすめ文庫にあがっていたので…

橋本紡の『九つの、物語』を読んでみた。このタイトルをみたときに、J.D.サリンジャーのナイン・ストーリーズが思い浮かんだが、この本を最後まで読んでみると、なるほど、このタイトルはうまいことつけたなと思った。

『九つの、物語』は、いわゆるよみがえり物だ。大学生になった女の子の元に、水死で死んだはずのお兄ちゃんが現れる。幽霊として自覚していて、ある事を果たしていないので成仏できないのだという。

このお兄ちゃんが本当にイカしたやつで、料理はうまいわ、頭はいいわ、顔はかっこいいわ、女の子にモテるわと、死んでしまったのが本当にもったいない存在。この人と妹を中心に物語が進んでいくのだが、読者の心をつかむのはこのお兄ちゃんの格言だろう。

いちいち、言う事がかっこいいのだ。

恋愛哲学。

それがもう、心を刺激する。こんな兄がいたら自分の人生はどうなっていただろうと考えてしまうぐらい彼の発言の破壊力はでかい。

それに、料理の話もこだわりを持っているらしく、このお兄ちゃんが語ってくれるレシピは実際に作ってみたくなってしまうほどだ。そして実際に僕は作ってしまった。ニンニクとトマトのパスタ。そのレシピはこの文庫の最後におまけとしてついてくる。そんな遊び心もちょっと嬉しい。

スポンサードリンク

恋愛、料理、と来て、文学。

この小説は、そのまま小説案内書にもなっている。タイトルの通り、九つの小説が紹介されており、太宰や井伏、サリンジャーなどの作家の作品の引用などを通して、主人公の女の子が物事を考える。

この小説を読むと、どうしても紹介された九つの小説までも読んでみたくなる。

そして、僕は橋本紡という小説家の作品を初めて読んだのだけれど、この人が書く文章は非常に読みやすく、それでいて繊細な気がした。優しい気がした。まぁ、最初の20ページぐらいは、やたらと「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と出てくるので、なんだブラコンの話か。なんてかなり期待はしていなかったのだけれど、その期待を裏切って良い作品でした。本当にバラエティーに富んでいて読んでいて飽きない作品です。

恋愛に疲れてしまった方。読書にふけりたいのだけれど、読むことに慣れていないせいで先へ進めない方。おいしい料理の本が読みたい方。そんなあなたにはぜひこの作品を読んでもらいたいと思いました。

大変面白かったです。

ではでは、そんな感じでした。

ABOUT ME
野口 明人
好きな映画は『オーロラの彼方へ』。好きな小説は『十八の夏』。好きなCDは『Return to Forever』。好きな漫画は『惑星のさみだれ』。ブログは今年で12年目!!長いのに、今日も読んでくれてありがとう!
人気シリーズ
  • 四国歩き遍路旅日記

    四国歩き遍路旅日記

    野口はある日バスに乗った。

    四国へ歩き遍路に行って、お泊り接待を受けてから不思議な出会いが引き起こす数々のエピソードを綴った旅日記。

  • ネットで稼ぐ方法講座

    ネットで稼ぐ方法講座

    野口はある日叫んだ。

    引きこもりが肩身の狭い思いをしている事に憤慨した野口が、これを読めば引きこもりでも月20万を稼げるようになるんだ!と決意を持って始めた講座。

  • 統合失調症の独語

    統合失調症の独語

    野口はある日壁に書いた。

    統合失調症と診断され、病院から診察拒否された野口が、薬や病院なしで統合失調症から立ち直るために考えた独言集。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です