『きみにしか聞こえない』はすぐに読めるのに、ずっと記憶に残る話だ

きみにしか聞こえない

著者:乙一
出版社:角川グループパブリッシング(角川つばさ文庫)
出版年月日:2009/5/14
文庫:173ページ
ISBN-10:4046310189きみにしか聞こえない
ISBN-13:978-4046310187

「きみにしか聞こえない」レビュー

友達に勧められて乙一が読みやすいとのことなので、きみにしか聞こえないを読んでみました。

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読みやすい…。その一言に尽きる。

この本は3つの作品が入った短編集。読みやすく、1,2時間あれば読み終わります。「きみにしか聞こえない」「傷」「ウソカノ」の3篇です。

最初は何とも軽い文章だなと思っていたんですが、20ページを過ぎた辺りから没頭しました。3つの作品の話はよくありそうな日常に、少し仮想世界が混じったもの。その少し仮想世界が混じったものというのが、この人の魅力。あり得ない設定とも言えず、人間の想像力でこういう事もあり得るんじゃないだろうか?というレベルのファンタジーを描いています。ちょいリアルってのがいいですね。

まぁ、それまで乙一という作家の名前は知っていましたが、読んだことがなくて、どんな文章書くのかなって前から気になってはいたんですが、ハマったりはしないかもしれませんが、決して嫌いな文体でもありませんでした。

とにかく読みやすいこと読みやすいこと。この本だけなのかもしれませんが、ライトノベルに近い物があります。完全にライトノベルかと言えば、それもちょっと違うんですが、ちょうど真ん中らへんに属している作家なのかもしれません。

ところで…

この「きみにしか聞こえない」というのは映画になっていて、2作品目の「傷」も「KIDS」というタイトルで映画化されているらしいです。きみにしか聞こえないはDreams Come Trueが同名の曲を歌っていて、それを聴いてみたところ、名曲でした!

…ただね。今ちょっと映画の予告編を観てみたんです。YouTubeで。

1分足らずの予告編なんですが、観たらちょっとがっかりしました。なぜ、原作の設定を変える!いかにもお涙ちょうだいな設定変更にがっかり。まぁ、まだ映画観てないんですけどね。乙一の魅力はちょいリアルがいいんですよ。あり得ない設定にあり得ない登場人物では、作られ過ぎたものな感じがして、映画は観る気になりません。

…いや、まぁ観ますけどね。そして多分泣きますけどね。

あ、映画の話よりも、原作の感想を書かなきゃなんですけど、とりあえずこの本に関しては、本を読む習慣とか持っていない人におすすめです。読書っていったん離れてしまうと、全然読めなくなると思うんですよ。そのリハビリの為に読みやすい本はどれか?ってなったらこの作品は非常に読みやすいんじゃないかな。

タイトルになっている「きみにしか聞こえない」も面白いですが、他の「傷」「ウソカノ」も、面白い作品なのでよければ読んでみてくださいませ。

この本は何回も形を変えて刊行されていますが、たしか角川つばさ文庫って児童書向けの出版だったはずなので、大人も読める子供の本という位置の本で、年齢問わずおすすめできます。

ではでは。

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