『星を継ぐもの』をようやく読み終えた。読むのに3ヶ月近くかかった!

星を継ぐもの

星を継ぐもの


著者:ジェイムズ・P・ホーガン
翻訳者:池央耿
出版社:東京創元社(創元SF文庫)
出版年月日:1980/5/23
ページ数:309ページ
ISBN-10:448866301X
『星を継ぐもの』レビュー
5 管理人の総合評価
読みやすさ
為になる
何度も読みたい
面白さ

やーーーーーーーーっと読み終えた!!Amazonのレビューで大絶賛だったし、長門有希の100冊に入っていたから『星を継ぐもの』を読み始めてみたら、大変なことになった。

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3分でわかる『星を継ぐもの』のあらすじ

プロローグ。

コリエルと呼ばれる巨人ともう一人の男がどこかわからない惑星でゴーダと呼ばれる何かを目指して歩いている。沢山いた仲間のほとんどは死んでしまった。コリエルはまだまだ元気だが、どうやらもう一人の男はもうすぐ力尽きそうだ。コリエルは何度も相棒を励まし、ともにゴーダに向かって歩いていたが、いよいよ相棒は限界を迎えた。

コリエルは相棒を近くにあった洞窟へ寝かせ、自分は助けを呼ぶために先に進むことを決めた。コリエルは宇宙に向かってこういった。

「これで貴様とおれの一騎打ちというわけか。罰当たりめが……やれるもんならやってみろ」

コリエルは次第に勾配を増す斜面を登っていった。

2029年。

この物語の主人公であるメタダイン社の理論研究主任のヴィクター・ハント博士は、急に、国連宇宙軍本部長のグレッグ・コールドウェルに呼ばれた。彼の発明したトライマグニスコープという物の細胞を壊さずにスキャンニングし、それを3Dに再現し観察できる装置を使いたいとのことだった。さらにはハント博士にも会社を辞めてもらい、ぜひコールドウェルの元で働いてほしいとの要望だった。

急に呼ばれるなりそんな事を言われたハント博士は、働いているメタダイン社では理論研究主任という事にはなっているが、元々人と関わらずに研究をする為に得たポストで理論研究を一人で進めていた。そんな彼を引き抜きたいというのにはわけがあるのだろう。

そのわけとは、月であるものが発見された。それをトライマグニスコープを使って研究してほしいとの要望だ。あるものというのは地球上の人間そっくりの死体だという。

ハント博士は要求を飲み、研究に携わることにした。そしてさらに驚くことにとりあえずチャーリーと呼ばれたその地球上の人間そっくりの死体は間違いなく人間であり、さらには5万年前の人類だという。もしそれが本当ならば5万年も前、つまりネアンデルタール人などが狩りをしていた時代に、人類が宇宙を行き来する知識と技術があったことになるのだが…。

5万年もの前の人類の死体が月で発見された事件は大ニュースとなり、各国そうそうたる面々が研究チームを組み、ルナリアン(チャーリーの事)の真相究明に努めた。

その中で生物学者であるクリスチャン・ダンチェッカーは昔ながらの典型的な科学者であり、進化論的にもルナリアンは我々の祖先であると主張するが、ではなぜそんな先進的な技術文化の遺跡が地球上のどこからも発見されないのか?ルナリアンは地球ではないどこかの地球によく似た星の宇宙人なのでは?という意見を持つハント博士と完全に対立していた。

ハント博士はチャーリーの持ち物から手帳を発見しトライマグニスコープを使って解析すると地球ではどこにも見られない言語、ルナリアン語を発見する。解析班とともに研究を進めていくうちに、それがカレンダーや地図であることが発覚し、地球とは全く異なる時間大系、地形が示されることになる。

ひとつの謎が解けるたびにひとつの矛盾が現れ、議論は白熱していく。

チャーリーの手帳の記録から、宇宙には昔、水金地火木土天冥海星のほかにもうひとつミネルヴァと呼ばれる星があった事が発見される事を皮切りに、木星の衛星ガニメデで宇宙船が発見され事態が急変していく。

そして、その木星の探索に向かったハント博士は和解しつつあったダンチェッカー氏とともに真相へと近づく閃きを得ることになる…。

…かなり間を端折りましたが、だいたいこんな感じの流れです。ハント博士とダンチェッカー博士が探偵となってルナリアンの謎を解いていくSFミステリーと言ってもイイと思える小説です。

『星を継ぐもの』の気に入った表現の引用

人間の適応は種々な点で完成には程遠いものです。内臓の配置などはまだまだ改良の余地があります。というのも、もともとこれは上体が水平に置かれた動物に適した構造として発達したものを人間が受け継いだからであって、直立の姿勢には不向きだからです。例えば、呼吸器系を見ても、老廃物や汚染物質は咽喉部に溜まって、本来は体外に排出されるはずのものが、体内に排出されています。これが四つ足の動物には見られない気管支や肺の故障の最大の原因です。

受信機は地球からの妨害電波を完全に遮蔽した環境で機能し、大口径望遠鏡は大気から解放されて、その自重に原因する

放浪の生涯を通じて、彼はかつてただの一度もある特定の場所を自分の故郷として意識したことはなかった。というより、彼にとっては特別な場所などありはせず、どこへ行っても、そこが故郷と思えばそれで満足だったのだ。ところが、月面に立って地球を見た途端、ハントは生まれてはじめて、故郷を遠く離れていることを強く意識した。

彼が馴れ親しんで来た世界との距離は毎秒十マイル以上の速度で増して行った。今や彼らの安全は、宇宙船を設計し、建造した者たちの技術にかかっていた。地球の緑の山河も、紺碧の海も、もはや彼らの生存にとって必要な条件ではなかった。それらは、ただ、かつては現実に思えた夢の名残りとして、ある種の鮮明な記憶を呼び覚ますものでしかなかった。ハントは、現実とは相対的な〈量〉であると考えるようになった。時を経てふたたびそこに立ち帰っても以前と変わらない、絶対的なものではない。今、彼にとって唯一の現実は宇宙船である。一時的ではあるにせよ、彼が背後に残して来たものは非存在と化したのだ。

従来最終速度とされていた限界を超えることができるように宇宙空間を変形させる手段も模索されていた。それが可能なら、恒星間旅行も夢物語ではなくなるであろう。

夜空は水晶のように澄み渡っていた。

ある集団が生殖的に隔離された場合……例えば分布の違い、行動能力の違い、交尾期の違いなどによって隔離されると、交雑による特徴の稀釈は妨げられます。隔離された集団中に新しい性質が出現すると、それはその集団内で固定され、強化されるのです。そして、世代の交代がくり返されるうちに、その集団は他の集団から分かれて行きます。亜種の差がしだいに大きくなって、やがては種の差となる。つまり、そこに新しい種が生まれるのです。これが進化の根本的な考え方です。隔離は新しい種を生むのです。地球上のあらゆる種の起源を辿ってみると、過去のある時期に何らかの形で隔離が起こり、種と変種がそこから分岐していることがわかります。オーストラリアや南米に固有の動物はほんの僅かな隔離の間にいかに急速に分化が進むかをよく示しています

引用:「星を継ぐもの」ジェイムズ・P・ホーガン著,池央耿翻訳(創元SF文庫)

これを読み終えるまでには3ヶ月もの時間を要した…

正直、自慢じゃないですがそれほど読書スピードは遅くないと思います。昔自分で測った事がありますが、1時間で100ページぐらい。8時間あれば800ページぐらいの小説ならば1日で読める読書スピードです。

この小説は300ページ弱のそれほど長くない小説。普通ならじっくり読んでも1日で読めるぐらいの厚さです。他の方のレビューなんかを読んでも先が気になって一気読みをしてしまう類の本とのこと。それなのに3ヶ月弱かかりました。

野口明人
…SF苦手なんだ。やっぱり。

映画でもスターウォーズ観たことないし、宇宙が関わる感じのストーリーにあまり興味を持てないというか、頭にすっと入ってこない。まず、根本的に海外の小説はカタカナが多くて、意味が全くイメージ化されないから読んでいるうちになんの話だかわからなくなってしまうんだな、きっと。

この小説、面白い時はすごく面白いんですが、全く面白くない話になると途端にページめくりが遅くなる。なんというか、ストーリーもクソもないし、SFの知識が全くと言っていいほど皆無なので、言っている事がちんぷんかんぷんになってしまう。

多分SFを好きな人にはたまらない物語なんだろうなってのはわかるんだけれど、どうしても理解するまで同じページを4、5回は読み直してしまう。しまいには登場人物がいったい誰なのかわからなくなったりもした。

これというのも、この本の前に読んだ

『ガダラの豚』を今すぐ読むべき。中島らもはこんなに面白い小説家だ

2014.03.21

が面白すぎたのがいけないんだ。あれが読みやすいし面白いしで次に読んだこの本が非常に難しく感じてしまった。そしてついにはいったん読むのを辞め、前回記事を書いた

『しあわせの書』は遊び心満載のミステリー。種明かしは絶対にダメ。

2014.06.13

を先に読むという感じになった。

でもいったん自分の読むスピードのリズムを取り戻すと、この本に戻ってもそれほど苦も無く読めるようになった。200ページ読むのに3ヶ月かかっていたのに100ページ余りを1日かからずに読めた。

わかったこと。

この小説はとにかく返り読みして理解しようとせず(つまり戻り読みをせず)に、面白くなるまでページをくくり続けるほうがいいと思う。次々と出てくる謎やその謎の解明は最終的にちゃんとまとめてハント博士が説明してくれるので、多少わからなくなっても最後に理解出来るように描かれています。

まとめ

SFが苦手な僕ですが、読むのに3ヶ月かかったにも関わらず最後の100ページの展開には胸が躍りました。SFとはサイエンスフィクション。ファンタジーとの違いは不思議な事を不思議な事として片付けるのがファンタジーですが、SFはその不思議な事を科学的に説明していくのです。現代の宇宙学や人類の進化についてまだまだわかっていない事が多々ありますが、それをもしこうだったらこういう結果になるとちゃんと説明してくれているのです。

特に人類の祖先の話は面白かった。5万年前、なぜネアンデルタール人は突如絶滅し、ホモ・サピエンスが出てきたのか。

その謎に対するジェイムズ・P・ホーガンなりの答えがこの小説に書かれています。

多分、読破するまで時間がかかってしまったのは僕がSF苦手なだけだと思いますし、内容的には面白いと思いますので、よかったら読んでみてくださいませ。Amazonのレビューではすこぶる大絶賛の嵐ですから。

そして、この本は僕が昔ハマった涼宮ハルヒの憂鬱の登場人物、長門有希の本棚にある100冊の中にある本でもあるんですよ。だから買ったってのもあったんですが。

長門有希の100冊とは (ナガトユキノヒャクサツとは) [単語記事] – ニコニコ大百科

ふう。

とりあえず、次に読むのはもうちょっと僕の好きなタイプの本にしようと思います。SFは難しい…。

ではでは。

あ、僕はあまりにも理解が出来ないで困ったので、星野之宣が描いている漫画版「星を継ぐもの」を読みながら理解を深めました。漫画版は全4巻ですが、続編も含まれているので、1巻だけ読んだら小説で触れている所がわかります。

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