『十二番目の天使』は不思議な本。小説なのに小説じゃないそんな本。

十二番目の天使

十二番目の天使


著者:オグ マンディーノ
翻訳者:坂本貢一
出版社:求龍堂
出版年月日:2001/04/16
ページ数:268ページ
ISBN-10:476300106X
『十二番目の天使』レビュー
5.9 管理人の総合評価
読みやすさ
為になる
何度も読みたい
面白さ

なんとも不思議な小説『十二番目の天使』を読んだ。これは何と言うジャンルなんだろう。

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読書めんどくさい…

オグ・マンディーノの「十二番目の天使」という小説が前々から本棚に飾ってあって、最近ちょっと小説離れしているし、ちょうど良い厚さだから読んでみようという気分になった。

というのも、夢野久作の「ドグラ・マグラ」を読み始めてからというもの、どうも活字が嫌になってしまったらしく、本を読むよりも映画を観たりアニメを観たり、漫画を読んだりする方がラクチンだったのだ。

実際、読書というのは僕の場合、継続的に行わなければ途端に読めなくなるもので、どんどん活字離れしてしまった。そんな時にこの本をふと手に取ってぱらぱらとめくってみた。

どうやら野球の話のようだ。野球を10年やっていた僕としてはちょっと入りやすいジャンルの話かもしれない。そんな感じでこの本を読み始めた。

読むのにかかった時間は約2日。

実に読みやすい部類に入る本だった。そして読み終わった後は何とも奇妙な気持ちになっていた。

僕は一体、何の本を読んだんだろう。小説か?自己啓発か?

話としてはこうだった。

コンピューター会社の社長まで上り詰めた主人公は成功者として故郷に帰る。そこで凱旋セレモニーのようなパーティーを開いてもらい、幸せの絶頂だった。しかし、その二週間後。事故で妻と子を亡くしてしまう。

ピストルを見つめ、自殺を図ろうとする主人公。まさに引き金を引こうとするその時、扉を叩く音が聞こえた。それは故郷に住む古くからの親友だった。その親友がお願いがあるという。リトルリーグの監督をやってほしいと。

気持ちがのらない主人公だったが、いざ引き受けてみると夢中になっていた。そのチーム名はエンジェルス。つまりこの本のタイトルになっている、十二番目の天使の「天使」というのはエンジェルスという野球チームに参加しているちびっこたちの事を言う。

このことに気が付いた時点で、あれ?ちょっと想像していた話と違うんだけども…と思ったけども、読みやすいこともあり読み続けた。

その天使の中で、ひときわへたくそなメンバーがいた。十二番目の天使。野球チームの定員数が十二人なので、最後のメンバー。スタメンではない。

この少年と主人公のストーリーなのだが…

どうも普通のスポーツ小説ではない。

…なんというか、言っている言葉が自己啓発過ぎるのだ。一時流行ったもしドラみたいだった。あんなにあからさまな自己啓発本ではないけども。

とりあえず、気に入った表現や気になった部分を引用してみることにしよう。

時間…この世界で最も貴重な必需品であり、その価値は日を追うごとに増し続けている。フランクリンはそれを「人生の成分」と呼んだ。

「もう泣くのはやめなさい。涙はもういらないわ。お前のサリーとリックが、今どこにいるかを忘れないこと。あの二人は、自分たちが今いる場所を、私たちの誰とも、絶対に交換したくないはずよ。間違いなくそう思ってるわ

優れたリーダーとなるための資質は、どうやら、どんな分野においても共通であるようだ。思いやりを忘れず、人々を理解することに努め、自ら良い手本を示し、協力とむねチームワークを旨とし、共通の目標に向かい、人々を激励し、賞賛し、常に自らも進歩を目指す

ビジネスマンとして出世の階段を上る過程で、私は歴代の人生哲学書の最高傑作を、片っ端から買い求めては読んでいた。アレンの『考えるヒント生きるヒント』、ヒルの『思考は現実化する』、ピールの『ポジティブ思考のパワー』、ストーンの『ポジティブな心の姿勢による成功』、ダンフォースの「私はあなたをけしかける』といったものをである。

「私たちの誰もが、霊なのです。先立った友人同様、私たちの誰もが、永遠に続く喜びのパーティーに招待されています。でも、私たちが一緒にそこに向かうことはできないのです。私たちは皆、自分の順番を待たなくてはなりません。彼の椅子のほうが、私たちの椅子よりも少し早く用意されていたために、彼は一足先にそこに向かいました。それだけのことなのです。ですから、あなた方や私が、ひどく悲しむ必要はないのです。いずれ私たちも彼の後を追うのですし、どこに行けば彼と会えるのかも分かっているのですから」

「先立った愛する者たちを思い、悲しみに暮れたりはしないことだ。彼らは死んではいない。彼らはただ、われわれの誰もが歩む必要のある旅を、歩み終えただけなのだ。われわれもまた、いずれこの旅を終え、彼らが集合している場所に向かい、そこで再会した彼らと、再びともに生き続けることになる」

毎日、毎日、あらゆる面で、私はどんどん良くなっている!

「絶対、絶対、絶対、絶対、絶対、絶対、あきらめるな! 」

「なんだよ、お前! クヨクヨすんなよ! 大リーグのスーパースターたちだって、エラーはするんだぜ。今日は俺たち、ついてなかっただけなんだよ。それだけのことさ。それに、試合には負けたけど、だからって俺たちは今日、あきらめたりはしなかったぞ。これからも、俺たちは絶対にあきらめない。あきらめるもんか! だいたい、これはお前が言い出したことなんだぞ。そうだろ? あきらめるな! いいか!」

私たちはまるで、一生を通じて、記憶を呼び覚ますためのより良い方法を、どこかの誰かから、ひっきりなしに教えられ続けているかのようである。加えて、記憶力の高め方を教える様々な講座までが存在している。その一方で、物事を忘れる方法を教える講座は、私が知る限り一つもない。もし誰かがその種の講座を始めたとしたら、大人気を博すだろう。自分の記憶力を誇りにしている大人たちのほとんどが、恵みであるはずのその能力が災いに転じるという状況に、これまでに少なくとも何度かは出くわしているはずである。

もう何も言うまい。私は愛する人を失った。しかし私は、彼女を、ここに来る前にいた場所に戻しただけなのだ。あなたの息子が亡くなった?彼は戻されたのだ。あなたの妻が亡くなった?彼女は帰されたのだ……

「ありがとう、ティモシー……俺の希望と勇気の天使でいてくれて……これからもずーっと大好きだからな。俺が息を一つするたびに、お前への借りが、どんどん増えていくよ」

引用:「十二番目の天使」オグ・マンディーノ,坂本貢一翻訳(求龍堂)

とまぁ、なんだ。とにかく自己啓発の本を読んでいるのかと錯覚するぐらいな内容なんですな。

ラストのシーンはネタバレになってしまうとあれなので、詳しくはいませんが、結構レビューなどを読んでみると泣けた、涙が止まらなかったという意見が多かったです。

僕はほんのり涙がこぼれたという感じでした。

この小説の欠点をひとつだけあげるとすれば、ストーリーが大体読めてしまう所。王道の話でした。それでもするすると先を読ませてしまうのは、なんの魅力か説明出来ないですが、普通の小説とは違った感じがあるからでしょう。

普通のストーリーなのに普通じゃない。『十二番目の天使』は、そんな小説でした。

ではでは。そんな感じで。

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